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私のキャスティング観
その2
シャルル・リッツが1963年に発表したハイスピードハイライン(以下HSHL)キャスティング理論をお読みになった方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
それが掲載されているA FLYFISHER'S LIFE日本語版は柴野邦彦氏訳でティムコ社から1983年に出版され現在も刷を重ねているようです。
私が最初にこの本を読んだのは1985年ぐらいでしょうか。
当時キャスティングに夢中になり始め毎日キャスティングのことから頭が離れることはない状態でした。
バンブーロッドにも惹かれ色々集めましたが上手く振れないロッドもありました。
なんとか自分の持っている竿ぐらいは上手に振ってみたいと試行錯誤しキャスティングの教本もいくつか読みました。
練習を重ねた甲斐あって数年後にはキャスティングにある程度自信を持てるまでにはなりましたが、どうしてもバックのラインが思うようにコントロールできていない悩みがありました。
リッツの本とは離れていましたが何年ぶりかに引っ張り出してきて記述を読んでいてはっとしました。
「スクィーズ」これのなんたるかを理解していなかったことに気づいたのです。
記述からイメージしたものを早速試してみました。
その時からバックラインの悩みは解消されそれまでとは違って後方上空へ速くて狭いループが伸びていくようになりました。

リッツがもっとも強調しているポイントを理解していなかったことに気づいて、何度も読み返しました。
すると、HSHLのメカニズムがいっそうはっきりしてきました。これは今まで一般的にされてきたキャスティングの説明では到達することが難しいのではないかとも思いました。
それにリッツが書いているように簡単で初心者でも短期間で身につけられるキャスティング手法であることを理解しました。
HSHLは、けっして高度なテクニックではなく基本的な方法論なのです。
特にこれからキャスティングを学ぼうとする方に対してのレッスン手法として取り入れるべきと思います。

その後、色々な人のキャスティングを観察する機会がありましたが、「スクィーズ」がきちんと出来ていてHSHLのメカニズムを正確に実行していると思える方にはお目にかかれません。
いろいろな映像を見てもリッツの説明と完全に一致するものはありません。
どうやら、リッツのハイスピードハイライン理論は正しく浸透することなく、多くのエキスパートやインストラクターのそれぞれの概念の中で紛れ込んでしまったようです。

リッツは結論として書いています。
「このHSHLを身につけるために絶対的に必要なことは、 筋肉コントロールと正しいアップキャストの動作を習うこと、そしてリストの横方向のねじりをできるだけなくすこと、そしてタイミングを計ることである。」
この短い記述をいかにして正確に理解し身につけるかが鍵であろうと思います。

繰り返しになりますが、HSHLをマスターすることは難しくはないです。
あえて難しいとするなら、HSHLとはどういうものかという間違って持ってしまった概念からの転換かもしれません。